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建築とは無縁の落語の世界に両足突っ込んで    富田 健治2018.01

平成30年が明けました。おめでとうございます。本年も変わりませずよろしくお願いいたします。

 

私、この3月で吉村建築事務所へ入社して丸45年を迎えるわけですが真面目一筋で長年続いた私が、平成19年10月に私の人生観が大きく変わりました。それは、聞くだけの趣味『落語』が、落語を演じる楽しさを経験出来るようになったことでございます。平成19年4月に大阪府池田市に落語資料館「落語みゅうじあむ」が出来、100人集客できる高座も作ったので、プロが演じるだけではなく、アマチュア噺家も育てよか、という関西人ののりの良さでプロの噺家が教える講座を募集しました。同じ年の春に大阪での落語定席、繁盛亭に同じ講座ができ、遅れること半年、10月にその講座が始まりました。

 

最初の稽古講座日、18人の第一期生が集まり、何を教えてもらえるのかわくわくした気持ちと「続くのんかいな」が入り混じった気持ちで受講しました。自己紹介程度は覚悟してたけど、順番に一人づつ高座舞台に上がって喋らされるとは考えてなかたので「え~ッ?」の驚きでした。が、いざ高座に座ってみるなんとも言えない心地良さで噺家って気分のえぇもんやな、と感じました。胸ドキドキはしても良い気分、は複雑で毎回の稽古日が楽しくなってきたもんです。

それから10年が過ぎ、今も講座は続けてるわけですが、稽古で覚えた噺をどうやって聴いて頂くか、が問題なんです。稽古して覚えた噺を自己満足で持ってても仕方なく、誰かに聴いてもらって反応(笑うこと)してもらう、これが『落語』の楽しみなんです。私は地味な性格ですが、中学時代の頃からお笑い系が好きで、面白い噺を共有したい気が多かったようです。それを実現するのが、この落語なんです。講座を受講し出して2年目ぐらいには、覚えた落語をどっかで誰かに聴いてほしい気が強くなり、当時は珍しいこともあってか、近所の喫茶店で演じるのがOKでまして一人でやってました(独演会?)。

その後は同期の仲間も同じ気持ちが一杯で、ついに落語会を銀閣寺近くの喫茶店で始めました。その時のお客さんの反応の良さもあり、こんなに好きなことやって、お客さんに笑ってもらって6人の落語会に24名来て頂き、大成功に。その後は自宅近辺の下鴨の喫茶店で延べ13回、他の仲間も池田、明石、大阪谷九、とあちこちで落語会を開き、いづれも盛況で喜んで頂いてます。不思議なことに仲間主催の落語会は延べ30回は超えてると思いますが、何れもが成功に近い結果で、何時こけるかいなぁと心配している今日この頃です(ホンマかいな?)。
噺を覚えるのはチョットの努力で可能です。が、其の噺をなるべく自分が考えているように笑ってもらったり、内容を理解してもらうのが如何にむづかしいか、近頃感じ出しました。高座に上がるのに始めの頃とは違った緊張感を引き摺って演じてるような自分を励まし乍ら頑張っているよぅな訳でして。落語はお客さんに如何にして噺の場面を頭の中に描いてもらうかが大事、そのために仕草と台詞でもって如何に臨場感を出すか、そして面白くなるように言葉を選ぶか、考えます。登場人物の若旦那、番頭、丁稚、子、おかみさん、お嬢さん、泥棒、酔っ払い等々、数多くの人物の使い分けとそれらしさの表現を考えて、話す楽しさ、その人物に成りきる難しさが奥深く、一生かかって少しづつ勉強稽古に励むことが今の私の(生きてる喜びがある)人生の中心です。建築設計という一応「技術者である自分」と違った「落語を演じる自分」がいる面白さは死ぬまで続くんでしょうね。

この3月に落語の発表会がありますので、お時間と興味のある方は添付してますチラシを見て頂いて、是非池田までお越し下さい。

富田健治