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「新年明けましておめでとうございます」 安達和子2017.01
子供の頃のお正月の楽しみと云えば、お年玉、初詣、久しぶりに会う従姉妹たちと遊んだことでしょうか。お正月の時期にだけ引っ張り出される百人一首は坊主めくりばかりが楽しかった思い出がありますが、この百人一首が近年意外とブームになっているのはご存知でしょうか?
競技かるたの漫画や、百人一首の恋の歌を漫画化したものがヒットしたことと関係が
あるそうです。
ある漫画に感化された私も、すっかり百人一首が数年来のマイブームになっています。
文学の百人一首と競技かるたの百人一首。
似て非なるものとはこの事ですが、どちらも想像以上に面白いです。
競技かるたはお正月の風物詩のようにTVニュースになりますね。着物を着たお姉さん達が遊んでいるように見えますが、実際はかなり激しい試合が行われています。
競技かるたの全国的な大会は滋賀県大津市の近江神宮で行われます。百人一首の巻頭歌を詠んだ天智天皇を祀る神社ということで、歌留多の聖地とも言われているとか。
競技かるたの日本一を決定する名人位、クイーン位決定選はこのお正月に開催されます。
近江神宮なら自宅から車で一時間かかりません。マイブームに火がついた3年ほど前に、
競技かるたの夏甲子園といわれる、全国高校かるた選手権大会を観覧しに行きました。
部活で活動している高校は全国で300校ほど。全校大会には56校が出場です。団体戦の
準々決勝を間近で見学。
想像以上に迫力のある試合にもうびっくりです。上の句の決まり字ですべての選手の体がカルタに向かって一斉に動くのです。凄いです。文系クラブというより、体育会系の間違いでは?と思わせるほどの瞬発力と、飛び散るかるた!!!
間近で見てこその面白さでした。
百人一首そのものは、歌の歴史的な背景や歌人の人間関係を知ると、ぐっと面白くなります。
学校の授業では教えてもらわなかった(聞いていなかったのかも)のですが、
歌の選定に謎の多い歌集であることがわかりました。
出世の口利きが聞き入れてもらえないことを嘆く歌や、紫式部や清少納言の歌も特に
面白くないものがチョイスされていたり、秀歌ぞろいではないのです。
それに百首のうち四十首余りが恋の歌です。多すぎますよね。歌集の選者である
藤原定家の好みなのか、歌集を依頼した宇都宮頼綱の意向なのか?
だんだんと歌の解釈より、この百首が選ばれた基準に興味が移ります。
百人一首の研究者からも色々な意見が出ています。百人一首をパズルのように
読み解く先生や、推理小説並みの謎解きが展開するものまであります。
古典と考えると堅苦しいですが、百人一首に定家のメッセージが隠されている
かもしれないと考えると、ミステリーみたいでなかなか面白いと思いませんか?
色々な楽しみ方ができる百人一首にしばらく心躍らせる日が続きそうです。
安達和子