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街路樹   池田 郁英2016.12

『街路樹』

 

今年もいよいよ大詰め、師走に入りました。

この一年、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしたでしょうか?

明くる年も幸多き日々になることを心からお祈りしております。

この季節に見られる風物詩はいくつかあります。

毎朝、沿道の皆さんが街路樹の落葉掃除している風景はその一つで、担当行政の皆さんも数限りない樹木の剪定作業に市内を走り回ります。

 

 

人は誰も人生につまづいて

人は誰も夢破れ振りかえる

プラタナスのかれ葉舞う冬の道で

プラタナスの散る音に振りかえる

帰っておいでよと振りかえっても

そこにはただ風が吹いているだけ

                                                はしだのりひこ 「風」(作詞 北山 修)

 

街路樹から舞い落ちる枯葉や風は私たちを感傷的にします。

1970年前後、当時の青年たちの人生に対する渇きや、もどかしさが、枯葉や冬の風にうまく表現されています。

コートの襟を立て、初冬の並木道を歩きながら今でもつい口ずさみます。

 

春の街路樹・・・

木々の新緑は春の到来を告げ、若葉を透した陽の光は新しい生命の息吹を際立たせます。

歩道を歩けば心身が洗われ、空気までも美味しく感じます。

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夏の街路樹・・・

葉っぱが青々と繁った街路樹は心地よい日陰を作ってくれます。

初夏の昼下がり、歩道に向かって突き出たテラス、私たちは街路樹の木陰でランチやコーヒーを楽しみます。

真夏の歩道を歩けば、街路樹の作り出す木陰は、まさに砂漠のオアシスです。

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秋の街路樹・・・

ケヤキやイチョウ、桜の葉の紅葉、その美しさに私たちは息を飲みます。

済み切った青空のもと、並木道を歩くと心も弾みます。

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冬の街路樹・・・

北風に舞い散る落ち葉は、歩道を歩く私たちに冬の到来を教えてくれます。

冬の札幌や仙台の駅に降り立った時、街路樹に仕込まれたイルミネーションも実に美しい。

昼間の陽光は夏とは逆に、葉っぱの散った枝を透して歩道いっぱいに陽だまりを作るし、沿道の家々にも冬の弱い日差しをプレゼントしてくれます。

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未曾有の災害をもたらした阪神・淡路大震災。

沿道の多くの木造家屋が一瞬にして潰れ、土の山・・・かろうじて街路樹に支えられた倒壊寸前の家屋が何軒もあり、九死に一生を得た方々も多かったのではないでしょうか。

街路樹はまた、街のヒートアイランド、地球の温暖化の防止にも効果があると言われています。

そして何よりも、私たちに季節の移ろいを教えてくれるし、その街に表情を与えてくれます。

 

夏は繁った葉っぱで日陰を、冬は葉っぱの散った枝を透して陽だまりを作ってくれる、そして春、秋と季節ごとの表情を街に贈ってくれる街路樹・・・

そんな並木道をもつ街は美しいし、ロマンチック。

私たちの印象と記憶に残ります。

 

「常緑樹」ではなくて、プラタナス(すずかけ)やイチョウ、ケヤキ、サクラなどの「落葉樹」が街路樹に多く選ばれるのはそんな理由からなのでしょう。たとえ、落ち葉清掃に苦労があったとしても。

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 取締役社長 池田 郁英

(写真はインターネットのフリー画像より)